【ブルーの旗を掲げよ】近年の競馬は、スローの上がり勝負が大勢。差し・追い込みに重きを置く予想は苦戦を強いられている。特にキャリアの浅い2、3歳の、中距離ベースの新馬戦は、走破タイムが平凡。能力の在り処や将来のビジョンを、道中のラップに(ラスト3Fに)、求めざるを得なくなってきた。ただ、スローの上がり勝負とはいえ、最後の1、2Fを、10秒8で走れるのか。11秒2がいっぱいゝなのか。そこには厳然たる能力差がある。本年の伝でいえば、
ジョワドヴィーヴルの新馬戦の上がり2Fのレースラップは、11秒6―11秒0。もちろん、
ディープインパクト×
ビワハイジという血統も無視できないが、その11秒0の意味を、次走の阪神JF完勝に繋げているし、先週の
シンザン記念ジェンティルドンナも、一走前の未勝利・最後の2Fめ・11秒0のレースラップで、
シンザン記念の本命を確信するに至った経緯があった。となると、
京成杯の
アドマイヤブルー。初陣の上がり2Fのレースラップは11秒2―11秒0。2分6秒5という走破タイムが嫌われ、
ホープフルSは5番人気。鞍上の
メンディザバルも、半信半疑で好位追走。とりあえず前半は、天性のスタートセンスで好位で流したものの、3、4コーナーで二度ほど、前へと促すように手綱を操作していた。しかし、直線坂下からゴール前にかけ、11秒1―11秒9と、一気にピッチが上がる瞬発力勝負を、もうひと伸び。中山の急坂を、レースの上がりを0秒5も上回る34秒5で外強襲。
弥生賞や
皐月賞の勝ち馬が通るだろう、内から4、5頭目よりの外めを回して、2分1秒4なら合格点。500キロ近い大型馬のわりには、筋肉量が足りないのではと思わせるほど、スカッとした造り。特筆すべきは皮膚の薄さ――そして何よりも、頭のよさが、その眼差しから一目で見てとれる。12日の栗東坂路では、3歳の一番時計をマーク。ちなみに、父は3歳3月から5月期にかけ、成長曲線が上昇モードに入る
キングカメハメハ産駒(2歳初期は、馬が硬かったり緩かったり、アン
バランスな仔が多い)。前走から中二週の再遠征となるが、馬体はむしろ張っている。V3でクラシックに名乗り。当面の敵は
ベストディール。
札幌2歳Sでは、返し馬で突然止まり、横山典を振り落とそうとしたり、若さが目についたが、前走の
百日草特別の上がりラップは、11秒3―10秒9―11秒6。本年の中距離ベースの2歳シーンで、確たる10秒台のレースラップをマークして勝ち切った馬は、同馬と
ダノンオリエントの二頭だけだ。上位二頭の瞬発力は、甲乙つけがたい。
朝日杯FS2着の
マイネルロブストは、個人的にはマイルがベースの中距離馬のように思う。ラフィアン育成馬だけに、よく鍛えられ、ヨロの筋肉のボリュームは群を抜くが、鍛えても鍛えても超えられない、才能というものが存在するのかもしれない。蛯名も、将来を見越してベストをチョイス?
アーデントも、競走馬として、面白さのある個性的な馬。勝負強さも備えているし、この中間の短期放牧で進化している。ただ、11秒ソコソコのラップの証明がない。
レッドシャンクスも、
ホープフルSを最速の上がりで駈け上がってきたものの、父は
ガリレオ。本質的には東京向きの
パワー型ではないか。
ブライトラインは、ラジオNIKKEI杯5着。この馬との戦いが、明け3歳の
トップランクの序列の目安になる。