【攻守は鉄壁】府中マイルの攻守は、
ホエールキャプチャで鉄壁。今季緒戦の
東京新聞杯は、関西遠征明け、3か月振りの実戦。牡馬相手の57キロもどうか。取扱いに半信半疑の人も多かったに違いない。しかし、並み居る牡馬をひとひねり。57キロを背負い、牡馬混合重賞を勝ち上がった馬といえば、
エアグルーヴ、
ファインモーション、
ヒシアマゾンなど、錚々たる名牝の名も見える。しかも、東京マイルは、2012年の
ヴィクトリアマイル優勝・2013年度のハナ差2着を含め〔3100〕と、さらに精度はアップ。走破タイムはともに1分32秒4。良馬場の東京1600mは、まず崩れない。
逆転があれば
スマートレイアーの資質。ひも解けば、デビューは昨年の
桜花賞当日の未勝利戦。経験馬相手に、G1と0秒3差の1分35秒3の圧勝――その一戦をもって、後の
秋華賞2着も予見できた逸材。ただ、年明けデビュー馬というのは、理想像に達するには時間を要する。粘り強く成長の度合いをはかり、明け4歳の春、八分の造りで
大阪城Sを完勝。マイルへの下準備に選んだ7F戦の
阪神牝馬Sを、出遅れながらも外一気のゴボウ抜き。ちなみに、1分20秒3は過去十年の歴代2位。ラスト3F・11秒7―11秒5―11秒6(3Fは34秒8)という、終い2Fの上がりに比重の高いラップを、加速力満点に残り1Fでネジ伏せてみせた(ゴール前は推定11秒フラット?)。坂コースの阪神1400mであの脚が使えるのなら、1F延長の東京マイルG1の組み立て方も手の内に入った。この中間の飼葉喰いは良好、メニュー通りの調教も消化できている。
割って入れば
メイショウマンボの地力。
オークスの2分25秒2という走破タイムはレース史上歴代2位。そのレベルの高さを二冠目の
秋華賞につなげ、
エリザベス女王杯では古馬牝馬を撃破。
天皇賞(春)挑戦も睨んだ
大阪杯は、「フケ」の影響もあったか。レースに集中し切れないまま7着に敗退したが、昨年の同時期、
桜花賞10着からV字回復で
オークスを奪取。マイル適性は前記二頭に若干見劣るものの、1400-1600mで3勝をマーク。
ブエナビスタや
ウオッカ型の底力型でも、府中マイルは普通に勝負になる。惑星は
ウリウリ、好位のインからスパリ。3歳春は馬体細化にも悩まされ、クラシックは未出走に終わったものの、秋となり
ローズSが、あわやの0秒1差。
秋華賞も0秒4差と見せ場を作ったが、マイル転向策に活路。
京都牝馬Sは鋭くインをさばいて上がり32秒9。ラスト2Fのレースラップは11秒1―11秒2だった。
阪神牝馬Sは自己最高の462キロ。勝ち馬の外強襲にハナ差2着に敗れたものの、一瞬にして馬群を割ったレースセンスは秀逸。馬体も今、黒光りしている。
フーラブライドは、4歳秋までダート2勝という
ゴールドアリュール産駒。しかし芝にスイッチして〔4010〕、これほど劇的に進化を遂げた牝馬も珍しい。
愛知杯制覇は、50キロの軽量と
パワー馬場に恵まれたのではないかという見方もされていたが、牡馬混合のG2・
日経新春杯が0秒2差。中山牝馬Sも力を要する芝コンディションに恵まれたとはいえ、距離1800mにも楽々と対応。馬体も決め手も研磨された今なら、東京マイルの高速決着でも間に合う。切れ味なら
エクセラントカーヴ。デビュー二戦目のクイーンCでいきなり3着好走歴もある好素材。目の尖った
ダイワメジャー産駒ゆえ、イレ込み癖に泣き回り道もしたが、4歳春の東京戦から、
江の島特別が1分32秒3、
新潟日報賞が1分19秒7、京王杯AHを1分31秒8の好タイムでG3を奪取した切れ者。復帰緒戦の中山牝馬Sは、粘りのある芝に脚をとられ9着に終わったが、1F短縮の瞬発力勝負の東京マイルに替われば、一変の急浮上は十分。
JC2着馬
デニムアンドルビーは、海外遠征明けは、そんなには気にならない。ただ、同じ底力型の
メイショウマンボより、マイルは後手に回りやすいか。